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イラク攻撃とエチオピア
アメリカ政府が提案しているイラクへの先制攻撃については、欧州諸国が賛成や反対を表明しているのと対照的に、大多数の途上国や貧困国は沈黙しています。ところが114カ国が参加してマレーシアで開催された非同盟諸国会議では、イラク攻撃に正面から反対する決議がおこなわれました。
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非同盟諸国運動についての解説
非同盟諸国会議は、ひとことでいえば、大国、先進国の言いなりにならない途上国の立場を表明していくための会合で、覇権主義や植民地主義への反対を掲げ、また国際緊張の緩和と、諸国家の平等を求めています。今回の会議でイラク攻撃に反対する決議が行われたのは、アメリカ政府の決定だけで他の国に攻撃が加えられ、その国の政権を崩壊させられるような世界では困るという、途上国政府の率直な意志があるのでしょう。ひとつひとつのの政府は何も言えなくても、114の国が参加した会議の名において、ということにすれば、わりと自由に発言できるわけです。
さてエチオピアについてみれば、アメリカ政府や世界銀行から多額の援助や融資を受けている以上、政府は、おもてだってブッシュ大統領を批判するようなことは避けたいでしょう。というか、避けるほかの選択肢をもっていません。しかし同時に、エチオピアの人びとや政府がブッシュ大統領の方針に賛同できない理由も、少なからずあるように思われます。
たとえば中東での戦争は、原油価格を大幅に上昇させるでしょう。エチオピアは、主要な輸出品であるコーヒーの世界市場価格が低迷しているため、ただでさえ(援助なしでは)持続不可能な経済状態にあります。原油価格の上昇は、エチオピアの経済成長率を下げ、貿易赤字をさらに拡大させることになります。
またエチオピアはキリスト教徒が多いことで知られていますが、実際には国民のおよそ四割はムスリムと言われていますから、イラクへの攻撃によって宗教対立が煽られれば、エチオピアの国内が不安定になりかねません。
さらにエチオピア独自の外交戦略もあります。エチオピア政府は、(ブッシュ大統領が悪の枢軸と呼ぶ国のうち)イラクのフセイン政権とはさすがに距離をおいているものの、北朝鮮やイランとは友好的な関係にあります。例えば昨年の12月には、イランから農業分野で支援を受ける合意をしています。
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エチオピア政府がもっとも重視するのは、いうまでもなくアメリカ政府との関係ですが、それでもアメリカ政府を全面的に信頼するよりは、(反米的な政権も含めて)いろいろな国と関係を保つことを選択しているわけです。こういった戦略をもつエチオピア政府にとって、非同盟諸国会議はたいへん重要な国際会議のひとつです。
ところで、エチオピア政府が重要な国際会議に参加するときは、ふつうメレス首相かセイヨム外相が出席します。大統領は象徴的な地位にあって、儀礼的な活動しかおこなわないからです。ところが今回の非同盟諸国会議には、ギルマ大統領が出席しています。
いろいろ事情があるのでしょうが、これは賢明な選択のようにも思われます。メレス首相が非同盟諸国会議に参加して、そこでイラク攻撃に反対する決議がおこなわれたら、ブッシュ政権にたいして気まずくなるかも知れない。かといって国家の指導者が参加しなければ、それは非同盟諸国会議に出席しないのと同じ
。そこで儀礼上の国家元首であるギルマ大統領なら、安心して出席できるというわけです。
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