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マナの男性にとって、良い土器をつくることができる女性は良い妻になるという。結婚を考え始めた青年たちは、各村の定期市を歩き回り、美しい土器をつくれる未婚の女性をさがす。結婚して7年、子どもが3人いるアドマソは、今の妻、アステラに出会うまで6年かかった。彼は、結婚を申し込んでからすぐに最大円周2m程もある酒造り用の大きな土器をつくることをアステラに頼み、彼女は1週間もしないうちにそれをアドマソに贈ったという。「人によってはね、水漏れしたりして一日ももたない土器があるんだ。でもね、アステラの土器はそんなことなかった。まだその土器は家にあるよ。丈夫な土器をつくれるとわかったから彼女と結婚したんだ。」
こうして、ほとんどの職人たちは、自分が生まれ育った村を離れ、夫が暮らす村へと嫁ぐ。妻となった職人たちは、夫の村の周辺で産出できる粘土で土器をつくり、自分自身で火入れをして定期市に出荷しなければならない。売り上げのほとんどは生活費にあてられる。
G村のイジャケンは、夫と2人の未婚の娘の4人で暮らしている。息子2人は去年と今年結婚し近所に暮らしている。イジャケンは直径が1m以上もあるアクシャを毎日2枚ずつつくる。夫は、約30アールの畑に自給用のトウモロコシを作付けし、その他に5〜10アールのコーヒー畑を所有している。コーヒーは2〜3年に1度の割合で約200kg(=約600ブル)の収穫がある。イジャケンは、日々の暮らしに必要な生活費に加えて、息子2人の婚資や、夫や子どもたちが病気になったときの薬代など支出を一手に引き受けてきた。

夫のそばで土器(アクシャ)をつくる職人
「これまで、私が自分の手で土器をつくってなんとかして生きてきたの。父も姉も助けてくれなかったわ。だってここにお嫁にきてから、私が土器をつくって自分の残りの婚資を父親に払ったのよ」
彼女の息子が結婚するのに必要な婚資について話をしていたときに、イジャケンはこういった。
「アクシャは、社会主義政権になってから急に値段があがったからつくるようになったのよ。今もアクシャ以外の土器はつくるわよ。アクシャはひびが入って壊れやすいから。いろんな種類の土器をつくっておいて焼成すればどれかは壊れず、最低でも塩は買うことができるでしょう。だから、いろんな種類の土器をつくることができるというのは、いいことなのよ。」
「それでモリエーはどこの村に嫁にいくんだ。ブナカルは沸かせるのか?インジェラは焼けるのか?」
さっきのおじさんはまだ、おもしろがってその話をつづけている。私は、今作っているアクシャにひびがはいりはじめそれを直すのに懸命で、彼の相手をしている余裕はない。私の斜め後ろに座って大きなアクシャをつくっていたイジャケンが、救いの手をさしのべるようにこういった。
「モリエーは、マタージャとビルキとバルシアクシャと、全部の土器がつくれるようになってからお嫁にいくの。今はまだだめよ」
※本稿は「アジア・アフリカ地域研究」第2号(2002)に掲載された『一人前の土器職人への道』を大幅に加筆修正したものです。
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