2008年04月02日

キリク [映画]

恐ろしい魔女によって呪われた西アフリカのある村に、キリクは産まれます。村人たちは呪いを恐れていましたが、キリクは最初から、恐怖に支配されるのとは違う生き方ができると感じていました。

といっても、彼は例えば、魔女を追放して村に平和をもたらすことが正しい生き方だと考えたわけではありません。『マトリクス』のモーフィアスのようにマッチョな人間であれば、恐怖の根源を滅ぼすことによって人類を救済しようと考えたでしょうが、キリクのやり方は違いました。

キリクは、魔女のもとへ出かけてゆき、魔女と話し、魔女を出し抜き、そしてまた魔女のもとへ出かけてゆく…ことを繰り返します。魔女との交渉の中でキリクは、呪いが恐怖を生んだのではなく恐怖が呪いを生んだのであり、魔女が憎悪の根源なのではなく憎悪が魔女をつくりだしたのだということを確信します。

『キリクと魔女』は最初、「無力な者でも智恵と勇気があれば、恐怖を取り除くことができる」ということを伝えようとしている物語であるように見えます。しかしストーリーが展開するにつれて、それは偽のテーマであることが徐々に明らかになってゆきます。

物語が終わるころには、キリクは見違えるように成長しているのですが、その頃までには、私たちはこの映画のほんとうのテーマを知るのです。それは、無力な者が持ちうる勇気についてのものであると言うよりは、敵と和解する者が持ちうる力についてのものです。

『キリクと魔女』
http://www.albatros-film.com/movie/kirikou/

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