2005年05月14日

水俣の海 [映画]

映像民族誌を撮っている友人に、彼が優れていると思うドキュメンタリーを挙げてほしいと言ったら、水俣に取材した土本典昭の作品を教えてくれました。折りよく大阪の映画館で、土本作品の上映会をやっていたので、最終日のきのう、「水俣-患者さんとその世界」を観ることができました。

さて僕は、父か母の本棚に「苦海浄土」の単行本があったのを覚えているけれども、手に取ったことはありませんでした。また大学の先輩が水俣病患者を支援するサークルに入っていたのは知っていたけれども、社会人になった彼が、もうそんなことは忘れたかのような話しぶりであったこともまた、印象的でした。そういったことを考えながら、僕は映画の切符を買い、ひとつまえの上映が終わってでてゆく観客を、横目で見ていました。

シネ・アソシエはこの作品について、「水俣病の告発を意図するにとどまらず、患者さんが棲む水俣をひとつの世界とした視点で描かれている」と紹介しています。

決してわかりやすい文章ではありませんが、じっさいにこの作品を観ると、水俣の海でタコを採り続けてきた老人の姿、ボラ漁の風景、死にいたる水俣病の症状についての語り、そしてチッソの株主総会に乗り込むために大阪に向かう患者さんとその家族の姿について撮られた映像が、ひとつの告発を後押しするようにして、僕らに働きかけてきます。

1971年に公開されたこの映画を、いまもこうして観られること、また僕が生まれた翌年に公開された映画を、今まで観ないできたことなどについて、いろいろな考えが頭から離れません。

nishi makoto

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