2005年05月07日
エド・ウッド [映画]
世にも不幸せな物語、というタイトルの映画を見ました。ボードレール家の子供たちに、身の毛もよだつような不幸が次々とおそいかかる話です。結論からいえば、この子供たちはどんな不幸ものりこえるだけの知恵と勇気を持ち合わせているので、全体としては「世にも不幸というほどでもない物語」に仕上がってしまっていました。
こんな話よりも、たとえば「映画作りの才能をまったく持ち合わせていない映画監督」の話のほうが、よほど不幸せについて考えさせられるというものです。ちょっと古い映画ですが、「エド・ウッド」は、そういう話です。
エド・ウッド(Edward D. Wood Jr.)は1980年、Golden Turkey Awardで「史上最悪の映画監督」に選ばれました。映画づくりの技術を学んだことがなく、監督として通常持ち合わせるべき手腕を持ち合わせていなかったエド・ウッドの作品は、観客からも批評家からも顧みられることがなく、彼は失意のうちに生涯を終えたのだそうです。
しかし、彼は誰よりも映画を愛していたし、彼の映画制作にかかわった人たちは、みな幸福だったと、映画「エド・ウッド」は証言します。ひとを幸福にするのは、才能とか技術とかではなく、情熱であり、愛情であるというメッセージは、たいへん説得力があり、同時にいまひとつ説得力がない。というのも、この映画を制作したのは、ハリウッドでも異色の才能に恵まれた監督であり、エドを演じるのは、誰もがその才能を認める俳優だからです。
とはいえ、技術や才能だけがひとを幸福にできると考えることは、何よりも不幸なことであると信じればこそ、ティム・バートンとジョニー・デップは、エド・ウッドに自分の姿を重ねあわせるのでしょう。エド・ウッドがおくった不遇の人生を、書きかえることはできないにしても。
nishi makoto
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