2004年10月09日

あなたの家族は元気ですか? [エチオピア]

エチオピアの人達の挨拶には、慣れるまで少し時間が必要です。アジスアベバの街角で、久しぶりに会った友人たちが挨拶するのを聞いていると、「元気?」「元気だよ。元気か?」「元気だ。奥さんは?」「元気だよ」「子供たちは?」「元気だ」「おまえの家族は元気か?」「みんな元気だよ」「ところでおまえは元気なのか?」「元気だ。おまえは?」

・・・と際限がありません。傍で聞いていると可笑しくなってくるくらいです。お互いに最低10回くらいは、相手とその家族の健康を気遣ってからでないと、話が本題に入れないようです。僕もエチオピアの友人と久しぶりに出会ったら、同じように長い挨拶を交わしてから別の話に移るんですが、話の途中でいきなりまた「ところでおまえの兄弟たちは元気なのか?」と振られたりして「ああ、元気だけどそれが何か?」と返しそうになったこともありました。

家族の健康について事細かに尋ねることには、とくに違和感がありました。単なる挨拶のつもりなのか、それとも本当にそんなことを知りたいと思っているのか、量りかねたのです。

もちろん単なる挨拶のつもりだったら、そんなに念入りには尋ねないでしょう。エチオピアの人達のばあい、「ご家族は元気ですか?」と尋ねて「実は姉が亡くなって・・・」という話になったら、「亡くなったの!それはお気の毒に。何があったんですか」「実は腎臓が悪くてずっと寝込んでいたのが・・・」などと、より詳しい話へと進んでゆきます。

そういえばエチオピアの作家が書いた小説の中に「喜びも苦しみも、ひとりで味わうのはつまらない」という一説がありました。エチオピアでは、健康を個人のプライバシーに属する問題だと考える人はすくなく、誰とでも健康の喜びと、病や死の苦しみを分ち合おうと考えるのがふつうの生き方であるようです。

コメント (1) | トラックバック