2004年03月20日

困っている事情 [日常のできごと]

先週のことですが、〆切を長いこと過ぎていた原稿をようやく提出し、すこし暖かくなった夜の道を家に向かっていました。鴨川の河川敷で、険悪な様子のカップルに遭遇しました。女の子は可哀相に、興奮して泣き声です。知らないそぶりで通りすぎようと、歩みを早めた瞬間に、その彼女が「なんでそんな、いい加減なことばっかり言えるん?」と叫ぶのが耳に入りました。

彼女のまえにいる男は、返すことばもなく立ち尽くしています。彼女と彼のあいだにどういった特殊な事情があったのか、通りがかりの僕には知る由もありません。しかし事情を知らない僕にも、確実に理解できることがあります。僕らは大抵のばあい、のっぴきならない状況に陥ると、いい加減なことを言って切り抜ける以上の策を持ちあわせていないので、「なんでそんないい加減なことを?」と問い詰められたときには、いかなる事情であれ、返すことばなどありません。

それに問い詰めているほうだって、矛盾した状況を暴いてしまったうえに、相手から何の答えも返ってこないのだから、「なんで?」と叫びつづけるしかないのです。それは想像してみるまでもなく、つらい状況です。そんなことを考えながら大きな交差点に差しかかったとき、尋常ではない速度で左折してきた自動車に驚いて、避けようとした拍子に足をひねってしまいました。

nishi makoto

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