著書の紹介

『現代アフリカの公共性―エチオピア社会にみるコミュニティ・開発・政治実践』 昭和堂, 2009年


§ 出版社、書店等による内容紹介

アフリカに何が欠けているのか?という欠如の論理から離れ、エチオピア社会でおこなわれている、いまある問題解決への実践から、現代アフリカの公共性を問う(昭和堂)

アフリカで生活している人々が実際に直面している問題に目を向け、エチオピアにおける社会の格差と対立を乗り越えるためのさまざまな試みを考察することを通して、現代アフリカの公共性を問う(オンライン書店ビーケーワン)

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§ 著者による内容紹介

アフリカが抱えている問題が解決されないのは、アフリカの政府や人びとに何か「欠けている」ものがあるからだという議論がある。例えばそこには、寛容な政治指導者や、合理的な行政組織、協調的な市民が「欠けている」とされる。しかしこのような議論は、そこに「ない」ものにとらわれるあまり、そこに「ある」問題、つまりアフリカで生活する人びとが実際に直面している問題をとらえることができない。私たちは、どのようにして「欠如の論理」を乗り越え、アフリカの人びとが直面する格差と対立の問題に目を向けられるようになるのだろうか。このことが本書の出発点となる問いである。

本書は、「理論編」と「事例編」のふたつの部分からなる。理論編は、経済的な格差や価値の対立を乗り越えて民主的な社会をつくってゆくための理論的な枠組みを踏まえた上で(第2章)、マハムード・マムダニの議論にもとづき、「市民」と「エスニシティ」というふたつの領域に分断されたアフリカの社会を修復することが、現代アフリカの公共性を考える上で重要な課題であることを示す(第3章)。

事例編では、おもに住民組織活動の経験に焦点をあてながら、エチオピア社会のコミュニティ、開発および政治実践について検討する。第6章および第7章で取り上げるグラゲ道路建設協会は、エチオピア南部グラゲ県の農村から首都アジスアベバに移住した人びとが、故郷の村に道路や学校を建設する目的で、1962年に設立した住民組織である。同協会の活動は、格差を生み出す社会構造に対抗して、新たな再配分の回路を切り開いてゆく政治実践であったと考えることができる。このほか事例編では、エチオピア連邦政府が推進する民族自治と結びついた地方分権政策の問題や(第5章)、アジスアベバ市民による葬儀講(死者を葬ることを目的とする住民組織)の活動がつくりだす「配慮する共同体」についても検討している(第8章)。

§ 目次

はじめに
第1章 「それは可能だ」
 1 アフリカの社会に欠けているもの?
 2 アフリカの市民社会、開発NGOと住民組織運動
第2章 差異・配分・公共性
 1 「差異」と「貧困」が出会うところ
 2 リベラリズムと多元的な社会
 3 「開かれた」共同体と「閉ざされた」市民的価値
 4 市民的公共圏と対抗公共性
 5 多元主義の限界と「正義」の再導入
第3章 アフリカの市民社会とエスニシティ
 1 市民社会のエンパワーメントとエスニシティの再来
 2 エスニシティ承認の政治
 3 統合と参加のジレンマ
第4章 エチオピアとその首都アジスアベバ、および南部諸民族州
 1 エチオピア
 2 アジスアベバ
 3 南部諸民族州とグラゲ県
第5章 国民統合とエスニシティ
 1 近代国家の成立とグラゲのエスニシティ
 2 近代エチオピア社会におけるコーヒー通商とスルテ/グラゲ
 3 国民国家から諸民族の連邦国家へ
 4 グラゲの解体とスルテ民族運動
第6章 エンパワーメントの政治実践
 1 開発・エンパワーメント・政治実践
 2 グラゲの氏族社会とエチオピアへの併合
 3 グラゲ道路建設協会の活動
第7章 真のエンパワーメントを求めて?
 1 革命による混乱と活動の危機
 2 エジャ開発委員会の活動
第8章 他者を排除する/他者に配慮する共同体
 1 葬儀講のなりたち
 2 葬儀講活動と社会開発
 3 アジスアベバの葬儀講活動
 4 葬儀講の規則
結論

作成者 nishi makoto : 2009年05月12日作成

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